伝えると伝わるは違う。伝わるために伝える。

伝えることと伝わることは違います。伝わるように伝えなくてはいけません。

*大学生です

 

トレーニング方法を伝える

トレーニングコーチの仕事の一つは、ウエイトトレーニングの方法を伝えることです。

 

先日、新しくサポートが始まった高校で、ウエイトトレーニングのサポートをしてきました。
前回は、普段行われているウエイトトレーニングの様子をじっくり見ることができました。
とてもまじめにやっていましたが、エクササイズテクニックはNGが多く、まずは自体重トレーニングからはじめようと思っていたのです。

そして初回のトレーニングサポートです。
おこなったプログラムの内容の一部がこれです。

*プログラムです。メニューではありません。
「メニュー」と「プログラム」の違い。「メニュー」はお品書き。「プログラム」は給食の献立。

・ルーマニアンデッドリフト
自体重→20㎏シャフト

・グッドモーニング
自体重→20㎏シャフト

・デッドリフト
20㎏シャフト→40㎏

・プッシュプレス
20㎏シャフト

です。そのほか、補強トレーニング数種類、クールダウンを含め2時間弱、
集中しておこないました。
一から説明したので、ウエイトは4種目しかできませんでした。

ルーマニアンデッドリフトの伝え方

ウエイトトレーニングを4種目やりました。はじめにやったルーマニアンデッドリフト(RDL)を、どのように伝えたかを書いてみます。

ルーマニアンデッドリフト(以下、RDL)は
・お尻
・ももうら(ハム)
・背中

を鍛えます。3つの筋肉を鍛えると同時に「ももうら」のストレッチにもなります。
ももうらが固いと、肉離れにもなりやすいですし、膝を曲げにくく、
パフォーマンスにも影響します。

RDLはデッドリフトや、今後行っていくスナッチやクリーンなどの
基本動作になる重要な種目です。

はじめに、膝に手をついて休みのポーズをとります。
いわゆる走り終えた後、「はぁはぁ」いう姿勢です。
このポジションは、カラダが一番安定した形です。

お尻をしっかり突き出し、膝も過度には前に出ていません。
すねは垂直に近い角度になっているはずです。
視線を下に下げなければ理想的なフォームです。

足幅を腰幅から肩幅に広げます。
そして股関節を伸展させるのと同時に、膝上から太ももを下から上にかけて手を滑らせます。
股関節に手のひらがあると、肩が前方に出ていることになるので、
股関節に手がいったら、「気をつけ」の要領でお尻の横に手をやります。

この一連の動作が基本です。
お尻を突き出す感覚がわかればうまくいきます。

次はシャフトを使ってRDLをやります。
床からシャフトを持ち上げるのは(デッドリフト)一番難しいので、
後のデッドリフトのところで練習をします。

今回は、20㎏のシャフトですから、腰丸めないように持ち上げると指示をします。

グリップは親指をしっかりかけたクローズドグリップ。
手幅は肩幅よりやや広く、左右均等に握って持ち上げます。

持ち上げたら、肩甲骨を背骨側に寄せます。肘は伸ばしたままです。
そこからは先ほどやったように、シャフトを太ももの上を滑らせ
膝の少し上まで降ろしてきます。

本来は膝下まで降ろすのですが、膝を超えて下に行くと、
フォームが崩れる生徒が多いので、膝上までにしています。

数回やって練習をすると、RDLの完成です。

このように説明しながらRDLを伝えました。

ルーマニアンデッドリフトの方法が伝わっているか確認

上記のような方法で、ルーマニアンデッドリフトのやり方を伝えました。
でも伝えただけでは不十分です。伝わっているのかを確認しなければいけません。

 

まずは足幅です。
事前に各自
・腰幅
・肩幅
・肩幅より少し広く
を、何回も確認しました。
自分の足幅を常に確認しなくてはいけません。
極端に狭くなったり、広くなったりしがちです。

足幅が違うと、ケガに繋がるリスクも高く、効かせたいところにも
効かすことができません。

毎回「足幅確認」と声をかけています。

次はグリップです。
これまで、手のひらが痛くないように、各自好きな握りをしていました。
親指をシャフトに巻くことなく人差し指に添えるクセも多いです。
一人ひとりチェックしました。

次は、降ろす動作です。
どうしてもシャフトがカラダから離れます。
肩甲骨を背骨側に寄せていないと、太ももからシャフトが離れてしまいます。
また重い重量だと、腰を痛めてしまいます。
全員で、「すらせて、すらせて」と言いながら動作を行います。

シャフトが膝の上にある姿勢です。
シャフトの重さなので、その位置で、各自フォームの確認ができます。
・肩甲骨を寄せているか
・お尻を後ろに突き出しているか
・すねは垂直に近いか
・膝は出過ぎていないか
、足裏は全部ついているか

など少し長めに時間をとります。
ももうらの柔軟性のなさや、背中が丸まってしまう(背中のニュートラルな状態を保持)ことが
できないことを自覚できます。

このような流れで、後の種目もやっていきます。

 

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1対18ですから、一通り説明してもなかなか伝わりません。
もちろん私の力のないところもあるかもしれないのですが。

そこで簡単な言葉で伝えるようにしています。
「足幅確認」「すらせてすらせて」

これは全員言いながらしているので、無意識のうちに伝わっています。

そして膝上でキープしている時間。
きつくて、ただ耐えている生徒もいるでしょうが、20㎏のシャフトです。
大半の生徒は、ポジションやフォームの確認をしながらやっています。

自分でいいポジションを見つけたのは、結果的に、ですが伝わったことになります。

私たちはどうしても一方的に伝えようとしてしまいます。
きっちり丁寧に伝えれば伝えるほど、伝わらないこともありました。
「なんでわからないんだ」
と、伝わらないことを人のせいにしていたこともあります。
今思えば、伝えることが多すぎて伝わってなかったのです。
きっちり丁寧に言ったから伝わっているものだろうと、勝手に思っていました。
伝わっているものだとも思っていましたし。

ウエイトトレーニングをサポートしていて、
ふと、「伝えること」と「伝わること」の違いを考えてしまいました。

 

伝え方を工夫して、伝わるようにしなければいけませんね。

やはり「伝わってナンボ」です。

 

【編集後記】

珍しくゆっくり寝ていました。
朝夕寒いくらいで、寝るのにちょうどいい季節です。

 

【昨日のOnce a day】一日一回新しいことを

・かんか(煮卵トッピング)

 

おしらせ 2  
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