もしもトレーニングコーチを仕事にしてみたいと思ったら受験資格のある資格に挑戦してみるのをお勧めします。
資格はチェックされている
トレーニング指導に興味のある人や、学生に「資格は取ったほうがいいですか?」とよく聞かれます。もちろん「Yes」ですが、どうしてそう聞かれるのか考えてみました。おそらく
・トレーニング指導者に国家資格はないので、プロのトレーニング指導者だ! といえば今日からプロになれると聞いたことがあるから
・どんな資格があるのか知らないから
・どんな資格がいいのかわからないから
・別に資格を持っていなくてもすごい奴はいると聞いたことがあるから
などではないでしょうか。例えば理学療法士や柔道整復師、鍼灸・あんまマッサージ師のように国家資格があるわけではありません。
「今日から私はトレーニング指導者だ」と宣言すればプロ。ということも嘘ではありませんが、私はすこし違和感があります。
私は時間とお金があれば いや 準備してでもチャレンジしてほしいと思っているからです。そして勧めているからです。
もちろん何でもかんでもと言っているわけではありません。
自分がやりたいことと興味関心がある協会か
受験資格、講習の有無、テストの有無
その協会の強みは何か、弱点は何か(初めはわからないでしょう)
取得費用は、取得後の費用は、取得後の継続教育は
など、今はじっくりHPを見ればだいたい、わかるでしょう。
そして自分の尊敬している人や、あこがれている人、この人のような仕事をしたいと思う人の資格を参考にしてください。おおよその傾向がわかることでしょう。
ちなみに私は同業で気になった人や、最近よく名前の聞く人などHPやブログのプロフィール欄で資格を必ずチェックします。そうすればその人のバックボーンが予想できるからです。
アメリカに行っていた人なのか
治療ができるのか、リハビリができるのか
開業できるひとなのか
ATなのか、S&Cなのか などなど
その人の得意分野が少し見えてきます。資格取得の参考になるのではないでしょうか。
3つの資格
各協会の使命や理念、資格の詳細、受験までのプロセス等はじっくり協会のHPをみてください。ここでは私の取得した資格のいくつかを紹介したいと思います。
健康運動指導士(健康・体力づくり事業財団)
前職ではこの資格取得が採用条件でしたので、相当なプレッシャーのなか取得しました。採用前は無職でしたので時間はたっぷりありましたが、当時は1週間の講習を3回。さすがに疲れました。テストも難しく、合格通知を受け取ったときは飛び上がって喜びました。お金も時間も一番かかった資格でした。しかしそのおかげで13年間の充実した病院勤務の職を得ました。
この資格取得者が常勤していることが医療法42条施設開設の必要条件です。
通称42条施設とは病院が運動施設を併設してもいいですよといった法律です。
平成18年2月、私の合格をもって石川県初の医療法42条施設が、医療法人社団光仁会木島病院内に開設されました。私が石川県で初めて健康運動指導士として職を得たのでした。
資格取得者は保健師や老人介護・保険・福祉施設等の職員がいるというのが特徴かもしれません。行政関係の人も多く、保健所や女性会などの講習会講師も経験させてもらいました。
NSCA資格認定(全米ストレングス&コンディショニング協会)
・アスリートやチーム向けの資格
CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
・パーソナルトレーナーの資格
NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)
の2つです。私の尊敬している人、またすごいなーと思っている人はみんなこの資格をもっている、もっていたのです。
アメリカに本部があり日本支部は1991年に設立され、トレーニングやトレーナーの世界では最も有名な資格かもしれません。
CSCSは合計4時間のテスト、NSCA-CPTは3時間のテストがありました。
これまた苦しみました。アメリカ留学中にアメリカでとる人も多い資格です。
同業の人はほとんど持っているスタンダードな資格かもしれません。
マッチョな人も多いです。
日本トレーニング指導者協会(JATI)
・トレーニング指導者(JATI-ATI)
・上級トレーニング指導者(JATIーAATI)
・特別上級トレーニング指導者(JATI-SATI)
の3つです。日本におけるトレーニング指導者の確立を理念の1つとして2006年に設立されました。若い人が多いという印象です。この資格は設立当時、友だちに協会の存在を教えてもらい取得しました。この協会の資格の面白いところは
指導経験を積み、継続して学習していけば上位資格に挑戦できること。
ATIは講習とペーパーテスト。
AATIはペーパーテスト+質疑応答+実技(師範能力+模擬グループ指導)
SATIは講習+小論文
みんな苦労しました。特にAATIテストの質疑応答では変形性膝関節症が緊張のあまり言えなくて「膝いた」という言葉しか出てきませんでした。ギリ合格でしたね。たぶん。
デモンストレーション
3つの協会の紹介をしましたが、資格を取得しても、JATIのAATIを除いて自分のデモンストレーション能力や実技が試されたわけではありません。もしかしたら自動車免許のところでいうペーパードライバーもいるかもしれません。話をするだけならいいのでしょうが、トレーニングを仕事としている以上、お手本を見せなければいけません。実技に関しては取得後からが勝負です。
そしてどの資格も期間中に一定の継続教育を受けなければいけません。
失効させないためには、お金と時間がかかるのです。
人に教える仕事なら当然でしょう。
私はこの継続教育のおかげでオリンピックリフティングやスピード&アジリティのデモンストレーション能力が向上しました。
資格をもっていても…
「資格を持っていなくてもすごい奴はいっぱいいる。」
「資格なんて関係ない」と私はよく言われました。そして持っていなくてもすごい人、有名な人はいました。
しかしその言葉に惑わされてはいけません。
「資格を持っていなくてもすごい奴はいっぱいいる。けれども資格を持っていてすごい人はもっとたくさんいる!」と
資格コレクターになってはいけません。そして取りっぱなしでもいけません。なんでもいいわけでもありません。
資格にチャレンジすれば例外なく勉強します。そして合格すれば最低限の知識の担保ができます。そして同業の人と共通言語で話せるでしょう。
もしトレーニングを仕事としたいと思っている人がいたら
3つのうちのどれにチャレンジしてみてもいいかもしれませんね。
おまけ
今日は何件か食事のお誘いを受けましたが
ブログに時間がかかりお断り。
もう少し工夫が必要ですね。