「痛みに耐えて、よく頑張った」より「痛みをコントロールして、よく頑張った」を目指そう。

「痛みに耐えて、よく頑張った」はとても有名な言葉です。トレーニングコーチの私はこの言葉が好きではありません。そもそも痛みがあること自体いけませんし、痛みがあれば頑張ってはいけません。しかし、残念ながら試合が続いたり、年齢が高くなったりすれば、どこかしら「痛い」ところも出てくるものです。そんなときは「痛みをコントロールすること」を頑張りましょう。

全日本マスターズ ウォーミングアップ会場にて
(痛みをコントロールしている人も多いはずです)

 

「痛みに耐えて、よく頑張った」

「痛みに耐えて、よく頑張った。感動した!」これは平成13年大相撲夏場所、千秋楽の表彰式で優勝した貴乃花に当時の小泉首相が、総理大臣杯を授与したときに言った言葉です。

 

大人気の横綱貴乃花が、前日の取組で膝をケガしてしまい、休場を危ぶまれましたが、最終日も出場。結びの一番での武蔵丸との取り組みでは、惜しくも敗れましたが、優勝決定戦では勝利。鬼の形相で土俵の上に立ったのはとてもドラマチックでした。
人気横綱貴乃花の劇的勝利と、当時人気があった小泉純一郎首相の効果でこの言葉は相撲の歴史に残る言葉になりました。

リアルタイムで見ていた私も感動したのを覚えています。
相撲ファンでもない私も興奮してみていたのですから、
日本中大騒ぎだったのではないでしょうか。

あれから18年余り、その言葉にちょっとした違和感を持つ私がいます。
「痛みに耐える」それを頑張るのはよくないなと。

勝つことに命を懸けているプロや、賞金がかかっているプロは、それは仕事ですから仕方がないと言えばそれまでです。
しかし、未来ある若手選手や、アマチュア選手、中高年のスポーツ愛好家などは避けなければ、いけないのではないかと思っています。

 

「痛み」があるということはストレスです。その痛みに「耐える」のですからさらにストレスがかかります。
痛みのために、思い通りにカラダも動かせませんし、
思いきったプレーもできません。
ベストコンデションではないのは当然です。
このような状態でいくら「頑張って」も勝負は不利でしょう。

そんな状況で貴乃花が勝利したから感動したのです。
私たちは、奇跡の大逆転や、負傷を負ったヒーローや弱いものが勝つこと。
ケガからの復活の物語は大好きですから。

しかし「痛みに耐えて、頑張った」の代償は大きく、貴乃花は連続7場所休場に追い込まれます。復帰後も精彩を欠き、それだけが原因ではないでしょうが、晩年はあまり活躍できなかったと記憶しています。

貴乃花のようにプロはそれでいいのです。感動を与えるのも仕事ですし、試合に命と、お金をかけているのですから。

しかし、未来のある若手選手やアマチュア選手、中高年のスポーツ愛好家などは今後すこしでも長くスポーツを続けるために決して無理をしてはいけません。
無理をしない勇気も必要です。

「痛みをコントロールして、よく頑張った」

「痛みのコントロール」とは痛みの強さを変えることではありません。
痛さ10から痛さ2に変更するスイッチもありませんし。
「痛みのコントロール」とは「痛み」と上手く付き合っていくことです。

 

「痛みと上手く付き合っていく」ことが大切ですが、整形外科的な手術が必要なケガや、医師から安静の指示を受けている人を、どうとか、こうとか言っているわけではありません。当然医師の診断を守ることもコントロールに含みます。

「痛み」がないのが理想ですが、とは言っても、慢性的な痛みだったり、
手術や治療の必要がない痛みだったりすることもあります。
そして、年齢がいけば、加齢からくる痛みもあります。残念ではありますが。
そんな人は安静にしているだけでは、いけません。
「痛みをコントロール」することに頑張らなくてはいけません。

ケガの大小に関わらず、ケガ直後は安静が必要です。
無理をすると再受傷に繋がりケガが重症化する可能性があります。
またケガにより、その部位の感度が悪くなっています。その状態で
運動をすると、運動のテクニックに支障をきたします。

よく、たとえるのですが「パチンコ」のネオンが1文字消えたら
たいへんなことになります。「パ」の文字が消えていたら一大事です。
「パ」の文字がケガをしている部位だと思ってください。
一部位でも欠けると動きが変わるのです。

その後は医師の指示や、安静期の終了時からは運動を始めます。
リハビリと言ってもいいかもしれません。

・ストレッチを再開する
・リハビリを開始する
・リハビリの後はアイシングする
・テーピングやサポーターなどで保護しながらする。

など徐々にはじめていかなければいけません。

慢性的なケガがある人も同じで、時には治療を受けつつ、トレーニングをしていかなければいけません。今日の痛みと、練習後の痛み、次の日の痛みを観察しながらのトレーニングです。
特に中高年の愛好家は、これからも長く、スポーツを楽しむために
これらのことをやっていかなければいけません。

そうしたうえで「痛みと付き合っていく」のです。

 

上手く痛みと付き合っていくには

長くスポーツを続けていくには痛みと上手く付き合っていくことが
大切です。ではどのようにすればいいのでしょうか。

 

痛みを記録する

痛みを記録することが理想的です。今日の痛みのことばかり考えていると
1か月前の痛みのことを覚えていません。じっくりではありますが、治ってきているのに変化を感じ取れないものです。
今まだ痛いので。

そんな時は記録です。痛みの基準を5くらいに分けて、記録してもいいですし、
「洋服に腕が通せない」とか「握手すると激痛」「右に向けない(首)」など具体的に記録しておけば変化に気づきます。
「全然治らない」と悲観的になることもありません。

ときどき受診、ときどき治療

「病院や接骨院に行っても全然治らない」と言わず、ときどきチェックしてもらいましょう。原因がわからず、よくはならないこともあるかもしれませんが、病院は安心証明だと思いましょう。よほど、ひどければ、手術を勧められるでしょうし、「加齢+運動不足ですね」と言われれば、痛いでしょうが、手術の必要がない痛みだと判断できます。不安は少し取り除かれます。

受け身ではなく、自ら動く

ゴッドハンドの治療家もいるでしょうし、ベッドに寝ているだけで、よくなればそれに、こしたことはありません。しかしそれだけでは楽にはなるでしょうが、よくなった感はないのではないでしょうか。
40分揉んでもらったとして23時間20分は何をしているのでしょうか。

もしリハビリが必要なら、自宅でも、もう少し時間を使ってできるでしょう。
受け身ではなく、自分でも何かをしましょう。
いい先生なら、自宅でできることを教えてくれるはずです。

トレーニング

リハビリに似ていますが、トレーニングもしましょう。
もし肩が痛いなら肩はリハビリ、下半身はトレーニングをしましょう。
上半身と下半身は別のような気がしますが、カラダは繋がっています。
体幹を含めて下半身もトレーニングが必要です。

肩が痛いからといって安静にして運動をしなければ、治ったとき、以前より歩けなくなっているかもしれません。
筋力低下よって次は膝が痛いかもしれません。

カラダは繋がっています。

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以上、上手く付き合うための方法をまとめました。
これは私が13年余り、中高年の運動指導に携わってきて
見てきて来たこと、きいてきたことです。

そして指導してきたことです。
アスリートも、スポーツ愛好家も同じです。

「無事これ名馬」が最強ですが、痛みがある人がダメなわけではありません。

痛みのある人は、無理をしない範囲で、
痛みをコントロールして欲しいのです。

 

【編集後記】

昨日金沢に帰ってきました。
金沢も暑いです。湿度が高いので
さらに暑く感じます。

バテないようになければいけませんね。

 

【昨日のOnce a day】一日一回新しいことを

・宮崎駅
・小松空港→金沢駅(バス)
・ラーメン富士
・ミスド ストロベリー・ド・ダブルクリーム
・ボンベルタ橘

 

 

 

 

おしらせ 2  
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