筋肉の3つの働き。生ビールで乾杯のシーンを例にしてみる

筋肉を伸ばしたり、縮んだりして手足を動かしています。その筋肉には3つの働きがあります。筋肉の働きを生ビールで乾杯を例に説明していきましょう。

*ハイボールで乾杯 中野にて

体内にある3種類の筋肉

私たちの体内には3種類の筋肉があります。

 

心臓にある筋肉を「心筋」と呼びます。
もう一つは胃や腸、血管の壁にある筋の「平滑筋」。
そして、私たちが普段、筋肉と言っている、足や腕、背筋などを「骨格筋」と言います。

骨格筋(ここからは筋肉と言います)は、非常に長い筋線維と呼ばれる繊維状の細胞が
束ねられてできています。
1つの筋線維は2センチから8センチほどあり、それが束ねられています。

骨格筋だけは自分の意志で自由に動かすことができる筋肉です。
この筋肉を伸ばしたり縮めたりして手足を動かしているのです。

筋肉が縮むことを収縮といいますが、今回はその3つの収縮についてまとめてみます。

 

筋の3つの収縮。ビールで乾杯、ぐびぐび飲む、テーブルに置く

筋肉が縮むことを収縮と呼びます。そのことを筋収縮の様式などとも言います。
それらには3つの働きがあります。
その働きを、ビールで乾杯をしたときの力こぶ(上腕二頭筋)を例にとってみていきましょう。

 

よく学生や中高年の方に筋肉の働きの説明をするときに、ビールの乾杯のシーンを例にあげます。
細かく言えばキリがないのですが、乾杯のシーンがとてもイメージしやすいいからです。

乾杯をしてビールを飲むまでには3つの動作があります。

・乾杯のシーン
・ぐびぐび飲むシーン
・飲んだジョッキをテーブルに置くシーン

です。この3つのシーンでの力こぶの様子をみていくのです。

乾杯のシーン

乾杯のシーンです。

 

ジョッキにはビールがたっぷり入っています。乾杯ですから
まだ飲んでいないでしょう。
力こぶにはビールの重さがかかっています。

重いのだけれど、ビールジョッキを相手の胸の前にあるジョッキに
タッチ(乾杯)しなければいけません。
力こぶの筋肉は肘を曲げた状態で伸びたり縮んだりしていません。

力こぶの山は少し高くなっています。
この時の筋肉の様子を「アイソメトリック」と言います。
等尺性収縮といいます。等尺ですから、長さが変わらないという意味です。

正式には「アイソメトリック・コントラクション」です。

 

ぐびぐび飲むシーン

乾杯した後、さっそくおいしいビールをぐびぐびと飲むシーンです。

 

乾杯したジョッキを口に運びます。肘は少し曲がっています。
乾杯してから口にジョッキを運ぶのですから、肘はさらに曲がります。
その時、力こぶの山は一番高くなります。

筋肉の様子を見てみると、ビールの入った重いジョッキを口に運びますから、
筋肉は縮みます。

この筋肉の様子を「コンセントリック」と言います。
短縮性収縮です。筋肉が縮み、力を発揮しているシーンです。

カラダに引き寄せる動きはほとんどこれです。

 

テーブルに置くシーン

ビールをぐびぐび飲んだ後、テーブルにジョッキを置かなければいけません。

もちろんすぐにお代わりと言って人に渡す場合もありますが、
ほとんどがテーブルにいったん、静かに置くのではないでしょうか。

多少は飲んだものの、いや全部飲んだとしてもジョッキは重いものです。
テーブルにはコントロールして

・静かに
・割らないように
・こぼさないように

置くのではないでしょうか。
力こぶの筋肉の様子はジョッキの重さをコントロールしながら
ゆっくり伸びていきます。
一気に伸びるのではなく、力を発揮しながら伸びていっています。

ちょっと違う表現になるので言い換えます。
縮んだ筋肉がゆっくり緩んでいくのです。

この筋肉の様子を「エキセントリック」と言います。
伸張性収縮です。
最近は伸張性筋活動と言います。

力こぶの高さは3つシーンで一番低くなります。

 

・乾杯=筋肉の長さが変わらない=アイソメトリック

・ぐびぐび飲む=筋肉がよく縮む=コンセントリック

・テーブルに置く=筋肉がゆっくり緩む=エキセントリック

なのです。

 

筋収縮の3つの様式

筋肉が縮む3つの様子をみてきました。

 

教科書などには

・等尺性収縮(アイソメトリック)

・等張性収縮(アイソトニック)の中に「短縮性収縮」と「伸張性収縮」

・等速性収縮(アイソキネティック)

に分類されています。等速性収縮はマシンを使って
実験室などで使うものなどで省略しました。

ビールの乾杯のシーンに例えましたが、例えば腕立てや、腹筋、背筋などでも
筋肉の様子を観察すれば、今はどの場面なのかわかってきます。

そして筋肉には裏と表があります。
腕だと、力こぶ(上腕二頭筋)とその裏の二の腕(上腕三頭筋)
ふとモモならば、モモ前(大腿四頭筋)と、モモ裏(ハムストリング等)

裏と表は、反対の動きをしていると思えば当たらずも遠からずです。

筋肉を鍛える時は3つの様式とも鍛えなくてはいけないと想像できます。
ちょっとだけ考えてトレーニングをやってみましょう。

最後に少し補足を。

トレーニング後におきる筋肉痛はコンセントリックよりも
エキセントリックが10倍発生しやすいと報告されています。

ジョッキでビールを飲み過ぎて、もし力こぶが筋肉痛になったら
それはビールを口に運んだからではなく、
ジョッキをテーブルに置いたのが原因です。

冬ですが、やっぱり生ビールはおいしいですね。

 

【編集後記】

久しぶりのいい天気。日中ウォーキング+ジョギングをして
銭湯に行ってきました。
なんちゃって露天風呂でおじいちゃんにつかまり、20分以上の世間話。
それはそれで楽しかったです。

 

【昨日のOnce a day】一日一回新しいことを

・イベントTシャツ

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